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既に解決可能なものであることは間違いない。

ただし、閲覧簿から、本文へ直接アクセスできるというのは、非常に便利であるが、逆に、不開示文書の開示という危険性を伴うことも確かである。システム的なセキュリティ対策が必要とされよう。その意味では、閲覧簿から本文への直接的なアクセスの代わりに、自由に閲覧できる仕組も考慮されるべきであるであろう。例えば、米国においては、一度開示された情報を、特定のサーバーに蓄積し、その文書は誰でも自由に参照、複写ができるようにすることが検討されている。そのことによって、不要な請求手続がなくなり、行政側の対応も省略できる。

(c)大量文書の開示への対応

情報公開の要綱では、「著しく大量な文書の開示請求」に関しては、開示請求文書の相当の部分について期限内に決定し、残りの部分は相当の期間内に決定すれば足りるとしている。これは、行政機関にとって、「事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合」であり、情報公開の本質的な問題ではないことは明らかである。このことによって、開示請求側が残りの部分の請求を事実上、放棄することが期待されていると考えるべきではない。開示に関する手数料についても、要綱では、「経済的困難その他特別の理由があると見とめられるときは、その手数料を免除し、又は減額することができる」としている。このことは、文書量が多いことが、情報公開の運用の支障にはならないし、むしろ、請求者側の負担が大きいときは軽減することを配慮しているものである。逆にいえば、行政機関側は、文書量が多くても、開示請求に対応することが要求されることを意味するものでもある。情報公開に対応して情報技術を活用することが必要な所以である。

(d)複写の電子化

閲覧と同様に、複写の場合の電子化も検討されなければならない。日本の地方公共団体における情報公開条例において、開示請求の結果、対象文書が膨大であり、その複写手数料が莫大になるため、事実上、情報の入手を断念したという事例も報告されている。

この事例のように、特に、複写の手数料負担が大きくて断念するようなことは、法の趣旨からは本質的ではないし、技術的な問題として解決できるのであれば、避けるべき事態であることは間違いない。行政文書が電子化されていれば、その複写において、作業量の負荷、複写に伴う手数料は大幅に軽減されることは明らかである。

 

 

 

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